top of page

「大規模多人数同時参加型オンラインゲームのコミュニケーションログとソーシャルネットワークデータに基づく社交不安症の予測:グラフニューラルネットワークの利用」がPsychiatry and Clinical Neurosciencesで出版されました。




研究室代表の横谷謙次が執筆した「大規模多人数同時参加型オンラインゲームのコミュニケーションログとソーシャルネットワークデータに基づく社交不安症の予測:グラフニューラルネットワークの利用」(Predicting social anxiety disorder based on communication logs and social network data from a massively multiplayer online game: Using a graph neural network)がPsychiatry and Clinical Neurosciencesで出版されました。


共著者にはサイバーエージェントの高野雅典先生、京都大学の阿部修士先生、九州大学の加藤隆弘先生がいらっしゃいます。


概要は下記です。


社交不安症(SAD)は、早期の発見と治療が必要な精神障害です。しかし、一部のSADを有する人々は対面評価を回避し、その結果、発見が遅れます。この研究では、大規模多人数同時参加型オンラインゲーム(MMOG)のコミュニケーションログとソーシャルネットワークデータに基づき、SADを有する人々を早期に予測することを目的としました。

 


本研究には、日本で人気なMMOGである「ピグパーティ」のユーザー819名が参加しました。参加者は、日本語版リーボヴィッツ社交不安尺度(LSAS-J)および社会的ひきこもり尺度(ひきこもり)に関する質問紙に回答しました。LSAS-Jで60以上のスコアを記録した参加者はSAD群と分類され、60未満のスコアの参加者は非SAD群と分類されました。ピグパーティの合計142,147人のユーザーのコミュニケーションログおよび613,618の人間関係が入力データとして使用され、参加者がSAD群か非SAD群かを予測しました。グラフニューラルネットワークモデルとして、Graph sample and aggregated embeddings(Graph SAGE)を利用しました。

 

SADを有する人々は、現実のコミュニティにおいて社会的に孤立する傾向(ひきこもり)が強く、MMOG内では、友人の数が少なく、他のユーザーの部屋で過ごす時間が短く、ユーザーを訪問する時間のエントロピーが低いことがわかりました。ソーシャルネットワークデータを用いたGraph SAGEモデルによるSADの予測では、F1スコアが0.717でした。



上の図から分かる通り、SADを有する人々はオンラインゲーム上でも友人の部屋を訪問する頻度が少なく、友人の部屋に滞在する時間が短く、かつ、友人の部屋に滞在する時間帯が規則正しい、ということが分かります。

 

興味深いことに、SADを有する人々の友達も同様の傾向を示しました。つまり、SADを有する人々の友人もオンラインゲーム上でも友人の部屋を訪問する頻度が少なく、友人の部屋に滞在する時間が短く、かつ、友人の部屋に滞在する時間帯が規則正しい、ということがわかりました。

 

 

これらの結果から、MMOG内のコミュニケーションログとソーシャルネットワークデータには、SADを有する人々に典型的な対人回避行動の指標が含まれていると言えます。この指標は、SADの早期発見のためのデジタルバイオマーカーとしての利用が可能と考えられました。



論文は下記からアクセス可能です。

本論文はサイバーエージェント様からの資金提供を受けております。また、本論文のオープンアクセス化については徳島大学が獲得した文部科学省「オープンアクセス加速化事業」の補助金を使用しております。

重ねてここに御礼申し上げます。




Yokotani, K., Takano, M., Abe, N., & Kato, T. A. (2025). Predicting social anxiety disorder based on communication logs and social network data from a massively multiplayer online game: Using a graph neural network. Psychiatry and Clinical Neurosciences.

 

Commentaires


Featured Posts
Recent Posts
Connect
Search By Tags
  • Google+ Social Icon
  • Facebook Social Icon
  • LinkedIn Social Icon
  • Twitter Social Icon

連絡先

​横谷謙次

yokotaniresearch[アット]hotmail.co.jp

[アット]は@にご変更下さい。

  • Google+ Social Icon
  • Facebook Social Icon
  • LinkedIn Social Icon
  • Twitter Social Icon
bottom of page